2026年11月5日

【特別対談(後編)】デジタルで「人の機会」を広げる。Hakuhodo DY ONEが目指すサステナビリティ

博報堂DYグループのサステナビリティを推進する、博報堂DYホールディングス サステナビリティ推進室長の中島静佳と、Hakuhodo DY ONE代表取締役社長の北爪宏彰による特別対談。前編では「Hakuhodo DY ONEはどのような会社を目指し、そこで働く『人』の力をどう捉えているか」をテーマに語り合いました。後編ではデジタルやAIによって広げられる人の機会に着目し、「Hakuhodo DY ONEが目指すサステナビリティと未来」について考えます。

(写真左から)
株式会社Hakuhodo DY ONE 代表取締役社長

北爪宏彰

株式会社博報堂DYホールディングス サステナビリティ推進室 室長
中島静佳

デジタルだからこそ広げられる、「人の機会」

――サステナビリティという視点から見ると、デジタルやAIにはどのような可能性があるのでしょうか。

中島
環境への対応は、これから企業が一層取り組んでいかなければいけないテーマです。一方で、私たちがこれまでおこなってきた仕事にも、デジタルやAIを活用することで、環境負荷を低減できる可能性が見えてきました。例えば、バーチャルプロダクションです。これまでであれば、大人数で海外ロケに行ったり、撮影用の造作物をつくって撮影後に廃棄したりすることもありました。それを新しいテクノロジーによって別の方法で実現できるようになっています。単なる理想論ではなく、「こうすれば実装できる」という事例が実際に生まれてきています。これからは、単に環境負荷を減らすだけではなく、自分たちがつくるものをどう環境に配慮したものへ変えていくのか。さらに、そこからどのようなビジネスをつくっていくのか。そうした「攻めのサステナビリティ」も大事になってくるのではないでしょうか。

――Hakuhodo DY ONEの事業にも、そうした可能性はありそうですね。

 北爪
そうですね。「AI Experts ULTIMA」のようなAIを活用したクリエイティブもそうですし、バーチャルプロダクションについても、私たちはコロナ禍にCM撮影で活用した経験があります。これまで当たり前だったプロセスを、新しいテクノロジーによって、より環境に配慮した形へ変えていける可能性があります。紙のDMや、使用されない可能性のある物品なども含めて、新しいテクノロジーや発想によって、よりサステナブルな形に変えていけると思っています。 

ULTIMA BRAND MOVIE
「AI Experts ULTIMA」が制作したAIとクリエイティブの融合を体現するコンセプトムービーが、
CICLOPE Asia Pacific 2026「AI PRODUCTION部門」にて最高賞を受賞。

 

――環境だけでなく、障がい者雇用や地域との連携など、Hakuhodo DY ONEではさまざまな取り組みをおこなっています。こうした活動にも、デジタル企業ならではの可能性があるのでしょうか。 

北爪
そう思います。最近、私はそこに、「デジタルだからこそ広げられる、人に対する機会」という共通点があるのではないかと思うようになりました。 

――中島さんが、そうしたHakuhodo DY ONEの取り組みの中で印象に残っているものはありますか。

中島
障がい者雇用の取り組みは、とても丁寧に進められていると感じています。一人ひとりと対話しながら、「どうしたらこの人が持つ力を発揮できるのか」を考えている。担当されている方も、最初からその領域の専門家だったわけではなく、考え、悩み、軌道修正しながら取り組んできたというお話を伺いました。とても素晴らしいことだと思いました。

北爪
私自身、今の立場になってあらためて、人事をはじめ、さまざまな部門が取り組んできた活動を知ることがあります。「こんなこともやっていたのか」「こんな思いを持って取り組んでくれた人がいたのか」と。障がい者雇用もそうですし、新潟ではプロサッカークラブのアルビレックス新潟と連携し、地域の学生が企画や運営に参加するプロジェクトにも取り組んでいます。東京だけでなく、高知や新潟に地域拠点があるのも当社の特徴の一つです。

FULL SWAN LIVE & EXPO 2026
Hakuhodo DY ONEとアルビレックス新潟による、
学生が「気づき」から実装までの全プロセスを体験できる共創型プロジェクト
https://fullswan-expo.hakuhodody-one.co.jp/

――そうした一つひとつの取り組みが、先ほどの「人に対する機会」につながっているのですね。

北爪
そうですね。デジタルは、場所や距離を越えて人と人をつなぐことができます。これまで参加が難しかった人にも機会を広げられますし、地域にある可能性を、より広いマーケットや社会につなげることもできます。だからこそ、こうした活動を事業と切り離された社会貢献活動として捉えるのではなく、社会への貢献、社員の成長、会社の成長を一体として捉える。それが、これから当社として考えていくサステナビリティだと思っています。

「最後まで、人が競争力である会社」でありたい

――「これからのHakuhodo DY ONE」の話もたくさん出てきましたが、10年後、どのような会社にしたいですか。

北爪
Hakuhodo DY ONEの未来を私一人で決めるのは違うと思っています。今まさに、みんなと一緒につくっているところです。ただ、一つだけ、比較的はっきりしていることがあります。AIがどれだけ進化しても、最後まで人が競争力である会社でありたい。テクノロジーはもちろん最大限活用します。AIやデータを、誰よりも使いこなせる会社になりたい。ただし、AI活用が効率化だけを目的とし、人の価値を小さくしてしまう会社にはしたくありません。むしろテクノロジーによって、一人ひとりの可能性がさらに広がり、これまで以上にできることが増えている会社にしたいですね。

――AIを、効率化にとどまらず、人の可能性を広げるために使うということですね。 

北爪
そうですね。例えば私自身もAIで会議の議事録を取ったり、要約したりしています。それだけでは単なる効率化にとどまりますが、その先で「あのとき相手がちょっと引っかかった顔をしていたのはなぜだろう」「まだ会社として言語化できていないテーマがあるのではないか」「次に誰と何を話したら前に進むだろう」といったことまで、AIに相談するようにしています。そうすると、これまで自分の頭の中だけでは扱いきれなかったテーマを、同時に進められるようになる。それは単なる効率化ではなく、人の可能性が増幅されているということだと思うのです。AIによって人がもっと強くなる。そして、一人ひとりのWillや「マニアックなまでの探究心」が会社の競争力になっていく。10年後、そんな会社になっていたら、私自身「やってきてよかったな」と思えるのではないでしょうか。

――中島さんは、これからのHakuhodo DY ONEにどのようなことを期待しますか。

中島
世の中にはデジタル企業もたくさんありますし、AIの話を聞かない日はないくらいですよね。だからこそ今日、北爪さんから「人の可能性をテクノロジーで広げていく会社になる」という話を聞けたことが、とてもよかったと思っています。Hakuhodo DY ONEがそういう会社になっていくのをとても楽しみにしています。 

北爪
本当にそういう会社にしていきたいですね。AIやテクノロジーを使いこなしながら、一人ひとりが持つWillや「マニアックなまでの探究心」を、もっと大きな力にしていく。それぞれの尖りを持ち寄って、みんなでHakuhodo DY ONEをつくっていけたらと思っています。

前編はこちら
【特別対談(前編)】AI時代だからこそ、“それなら、あの人に聞こう”と名前がたくさん挙がる人がたくさんいる会社にしたい

中島静佳
株式会社博報堂DYホールディングス
サステナビリティ推進室 室長

自動車メーカーで商品企画に携わった後、2004年に博報堂へ入社。化粧品、金融、飲料、自動車など幅広い業種のマーケティングに従事。次世代店舗体験のデザインやビジネスエスノグラフィーのサービス開発を経て、2009年より博報堂買物研究所でショッパーマーケティング、購買行動データを活用したソリューション開発を推進。2017年よりマーケティング局にてブランディング、マーケティング全般でクライアントを支援し、2022年より博報堂DYホールディングス サステナビリティ推進室長。グループのサステナビリティ推進体制の構築、環境、人権、DE&I、社会貢献などの方針策定・活動を推進。「人を中心としたサステナブルな経営」の実現に向け、グループ横断でのサステナビリティ活動を牽引している。

北爪宏彰
株式会社Hakuhodo DY ONE
代表取締役社長

東京大学在籍時の起業経験を経て、博報堂に入社。2006年より博報堂全社のデジタル改革組織に参画。顧客とのエンゲージメント視点に立ったブランド戦略プランニング、およびインタラクティブ領域を中心としたROI重視のマーケティングを推進。2010年よりHarvard Business School留学、2011年修了、アルムナイ資格取得。米国MarketShare社を経て、2013年よりアイレップ(現Hakuhodo DY ONE)に参画。マーケティング統括室長、コーポレートコミュニケーション本部長を経て、2018年に取締役CMO、2023年に常務取締役CROに就任。2025年より、Hakuhodo DY ONEの専務執行役員。2026年4月より現職。